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Re-Mat ECOLUM 人・企業・環境をつなぐ、リマトの産廃コラム

モバイルバッテリーやスマホが「回収・リサイクル義務化」へ ― 発火事故対策として動き出す新しいルール ―

2025.12.23

リチウムイオン電池による発火事故が多発していることを受け、政府は回収とリサイクルの義務化を進めています。モバイルバッテリーや携帯電話、加熱式たばこを「指定再資源化製品」とし、メーカーに回収・再資源化を義務付ける方針です。また、小型家電リサイクル法でも対象拡大が進み、レアメタル回収や安全性向上のための対策が強化されています。2026年度には関連法制度が大きく転換し、メーカーには持続可能な設計や回収体制の整備が求められるようになります。

発火事故がもたらした「回収・リサイクル義務化」の流れ

近年、モバイルバッテリーやスマートフォンなどに内蔵されているリチウムイオン電池を原因とした発火事故が全国で多発しています。
2023年には、ごみ収集車や処理施設において21751件に及ぶ発煙・発火の発生が確認されました。また、火災事故による被害総額は、約96億円にも上ります。とりわけ、リチウムイオン電池は家庭で廃棄される際に適切に分別されないことが多く、プラスチックごみなどと一緒に捨てられるケースが後を絶たず、廃棄段階における事故リスクは深刻化しています。こうした状況を背景に、政府は回収体制の強化とリサイクルの義務化に本格的に乗り出しました。

メーカーに課される回収・リサイクル義務

政府は、改正資源有効利用促進法によって、モバイルバッテリー、スマートフォンなどの携帯電話、加熱式たばこの3品目をパソコンに加え、新たに「指定再資源化製品」とし、製造事業者や輸入販売事業者に対し、回収とリサイクルの義務を課す方針を決定しました。
義務が果たされない場合は勧告・命令も可能となり、企業責任がこれまで以上に明確になります。

適切な回収のために利用者も協力を

義務化の対象はメーカーですが、回収を進めるためには利用者側の協力も不可欠です。モバイルバッテリーなどの利用者には罰則こそないものの、家電量販店や公共施設の回収ボックスへの持ち込みなど、分別排出の徹底などの協力が今後ますます重要になります。
発火事故防止の観点からも利用者自身による協力が不可欠です。

小型家電リサイクル法の対象拡大とレアメタルの回収強化

回収義務化の動きは、資源の有効活用の観点からも加速しています。政府は小型家電リサイクル法においても対象品目の追加を検討し、2026年度からモバイルバッテリーやポータブル電源、加熱式たばこ機器など4品目を新たに加える方向で調整しています。リチウムやコバルトなどのレアメタルを確実に回収し、改正資源有効利用促進法とのシナジーで再資源化を進めることが狙いです。

処理の高度化と安全対策の必要性

リチウムイオン電池の処理には高い安全性が求められ、焼却・埋立て処理や不適切保管が引き起こす発火リスクが問題視されています。政府は、蓄電池の検知機や消火設備の導入に対して補助金を活用する方針を示し、自治体や認定事業者と連携した処理体制の強化を進めています。

適切な回収と再資源化が進めば有価資源の国内循環につながっていきます。高い技術力を持つ全国約60社のリサイクル事業を行う「認定事業者」による適正な再資源化をより確実なものにするため、政府は追加指定を行う方向です。

改正資源有効利用促進法との連携

政府は、小型家電リサイクル法と資源有効利用促進法の双方で対象品目を拡大し、回収から再資源化までの仕組みを強化しようとしています。とくに「指定再資源化製品」への追加は、メーカーにとって大きな節目となり、持続可能な製品設計やリサイクル体制の整備を迫るものです。
今後は小型家電リサイクル法と資源有効利用促進法の両面から、回収と再資源化の取り組みが強化され、事業者の負担と責務はさらに広がることになっていきます。

また、公明党は、該当品目に手持ち扇風機「ハンディファン」の追加に向けた検討も行っています。
また、この他の品目では、電気カミソリやコードレス掃除機について、メーカー側にはリチウムイオン電池を取り外しやすい構造にすることが求められ、製品開発の段階でリサイクルを意識した設計がより重要になると考えられます。

参考資料

・経済産業省 資源循環・リサイクル部会. 「資源循環の更なる推進について(資料)」 経済産業省, 2025.
https://www.meti.go.jp/shingikai/sankoshin/sangyo_gijutsu/resource_circulation/pdf/011_03_00.pdf(最終閲覧日 2025.12.04)

・公明党. 「モバイルバッテリーなど回収・リサイクル義務化を訴え」
公明新聞サイト, 2025-10-31. https://www.komei.or.jp/komeinews/p446920/ (最終閲覧日 2025.12.04)

・日本経済新聞. 「モバイルバッテリー回収義務化へ/発火事故受け政府検討”」日本経済新聞, 2025-08-10.
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA128QY0S5A810C2000000/?msockid=27240cabb8e06513321c1fa3b90a6475(最終閲覧日 2025.12.04)

・読売新聞. 「加熱式たばこなど小型家電のリサイクル義務化、来年4月法改正で強化」 読売新聞, 2025-10-30. https://www.yomiuri.co.jp/economy/20251030-OYT1T50241/(最終閲覧日 2025.12.04)

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