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Re-Mat ECOLUM 人・企業・環境をつなぐ、リマトの産廃コラム

廃棄物処理法の改正について 不適正ヤード問題への対応(その2)

2026.01.07

廃棄物処理法については、平成29年に「廃棄物の処理及び清掃に関する法律の一部を改正する法律(平成29年法律第61号)」が成立、同年6月16日交付、翌平成30年4月1日より順次施行となりましたが、同法附則第5条に「政府は、附則第一条第二号に規定する規定の施行後五年を経過した場合において、・・中略・・、新法の規定について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずるものとする。」と規定されています。この点について令和7年で施行後5年を迎えることからその規定について検討が予定されており、これを受けて「廃棄物処理制度小委員会」が設置され検討が行われた結果、
 ①不適正ヤード問題への対応
 ②PCB廃棄物に係る対応
 ③災害廃棄物への対応       
について改正が予定されております。
 本稿では、①不適正ヤード問題への対応について、その内容と方向性をまとめてみたいと思います。
※「不適正ヤード問題への対応(その1)」についても、ぜひご確認ください。


各自治体の動向と問題点

上記のように「廃棄物」や「有害使用済機器」に該当しないもの(再生資源物)に係る問題点に対応するため、都道府県(政令市含む)が条例を制定し、独自に規制を行っています。

<都道府県>
ア 滋賀県:滋賀県金属屑回収業条例(昭和31年12月25日)
イ 兵庫県:産業廃棄物等の不適正な処理の防止に関する条例(平成15年3月17日)
ウ 鳥取県:鳥取県使用済物品等の放置防止に関する条例(平成28年4月1日)

エ 千葉県:千葉県特定再生資源野外保管業の規制に関する条例(令和6年4月1日)
オ 茨城県:茨城県再生資源物の屋外管理の適正化に関する条例(令和6年4月1日)
カ 山梨県:山梨県再生資源物の不適正保管等の防止及び産業廃棄物の適正管理の促進に関する条例(令和6年7月1日)
キ 埼玉県:埼玉県特定再生資源屋外保管業の規制に関する条例(令和7年1月1日)
ク 福島県:福島県特定再生資源物の屋外保管の適正化に関する条例(令和7年1月1日)

<政令市>
ア 名古屋市:名古屋市産業廃棄物等の適正な処理及び資源化の促進に関する条例(平成16年7月1日)

イ 千葉市:千葉市再生資源物の屋外保管に関する条例(令和3年11月1日)
ウ さいたま市:さいたま市再生資源物の屋外保管に関する条例(令和6年2月1日)
エ 越谷市:越谷市再生資源物の屋外保管に関する条例(令和6年7月1日)

※令和7年10月8日 廃棄物処理制度小委員会(第7回)
【参考資料2】今後の廃棄物処理制度の検討に関する概要資料 より(赤字部分)

例)千葉県 千葉県特定再資源屋外保管業の規制に関する条例

条例の内容① 条例の狙い

○条例の狙い

・いわゆる金属スクラップヤードなどにおける不適正な事業運営による生活環境の悪化を防止し、適正な資源の再生利用を推進するための条例を制定。

・これまで法令の適用ができなかった金属スクラップヤードに対して、条例により必要な規制を行うことで適正な運用を担保する。

条例の内容② 規制対象

○規制対象

特定再生資源を屋外において、重機等を使用して積み上げ保管をする事業。
特定再生資源屋外保管業”が規制の対象。

<特定再生資源とは>
①使用を終了し、収集された製品(金属又はプラスチックが使用されているものに限る)
②収集された金属又はプラスチック(製品の製造、加工、修理又は廃棄、土木建築に関する工事その他の人の活動に伴い副次的内得られたものに限る。)
※①②のいづれについても、これらが破砕、切断、圧縮又は解体されたものを含む。また、廃棄物、有害使用済機器、自動車ヤード条例の”特定自動車部品”などは含まない。

<屋外とは>
屋根及び周壁又はこれらに類するものを融資、土地に定着した建造物の外

<重機等とは>
油圧ショベル、フォークリフト(最大揚高が3m超のもの)、クレーンなど
※油圧ショベル:バックホウやグラップルなどの作業装置を有する重機の総称

条例の内容③ 規制手段

○事業の許可

○住民への周知

○基準順守義務

▶事業場の基準適合維持(囲いの設置、底面の舗装等)
▶保管物の高さ制限制限措置
▶火災発生・延焼の防止措置
▶汚水の飛散・流出や悪臭の発散防止措置
▶騒音・振動の防止措置

○現場責任者の設置

条例の内容④ 実効性の確保手段

○命令等

・基準遵守の義務違反等について、保管方法の変更命令等を発出
・県民の生活安全上に支障が生じていると認める場合等について、措置命令を発出
・命令に違反した場合について、許可の取り消し又は事業の停止命令を発出

○報告徴収、立入検査

・特定再生資源屋外保管業を行っていると認められる者に対して報告徴収
・特定再生資源屋外保管業を行っていると認められる者の事業場等へ立入検査

○罰則

・無許可営業、命令違反等「1年以下の懲役又は100万円以下の罰金」
・届出義務違反その他の義務違反は「30万円以下の罰金」

条例の内容⑤ その他

○施行期日

令和6年4月1日

○経過措置

既存事業者にも許可取得を求め、条例の各規定への適合に必要な期間を1年間設定。
(令和7年3月31日まで)

○条例施行に向けた取組

・金属スクラップヤード等として把握をしているすべての事業場を訪問
・遵守すべき基準など条例の規制内容と、1年間の経過期間内に許可申請する必要があることを周知

○経過措置

・許可申請をしない事業者に対しては、順次、条例に基づく立入検査を実施。
・申請に係る相談等の有無に関わらず事業者に対して。条例の規制内容を遵守するよう、必要な指導等を実施。
・経過期間内に許可申請をするよう重ねて指導を実施。

現在の状況(令和7年2月28日現在)

・県内の金属スクラップヤード等数:531か所

・県条例の規制対象事業場:425か所

・事前協議受付件数:291件

・許可申請受付件数:18件

・許可件数:2件

・廃棄等予定ヤード数:122か所

※令和7年3月7日 廃棄物処理制度小委員会(第2回)
【資料2】千葉県環境生活部ヤード・残土対策課 資料 より

制度的措置の必要性と見直しの方向性

○制度的措置の必要性

・保管場所(ヤード)における不適正処理に起因する騒音や悪臭、公共用水域や土壌汚染、火災等の発生の恐れがあること

・特に使用済鉛蓄電池や使用済リチウムイオン電池は、不適正処理により鉛の流出や火災等の生活環境保全上の支障が生ずるのみならず、例えば使用済鉛蓄電池は不適正に解体され、得られた鉛原料が不適正に輸出されていること

・ヤードにおける雑品スクラップ等の不適正な処理による生活環境保全上の支障に対し、条例の創設により対応している自治体もあるが、条例を整備していない自治体に事業場を移転し規制から逃れる事業者も存在すること

全国で統一的な制度の創設が必要と考えられることから、法制度による不適正ヤード対策が急務となっている。

○見直しの方向性

①不適正ヤード対策

◆廃棄物処理法上の廃棄物又は有害使用済機器に該当しない雑品スクラップ、使用済鉛蓄電池等の不適正処理に対応するため、全国で統一的な制度の創設が必要となる。対象は、
・有害使用済機器
・使用済鉛蓄電池及び使用済リチウムイオン電池
・一定程度集積し、かつ不適正に処理されることにより生活環境保全上の支障が生じるおそれのある金属スクラップ及び雑品スクラップ
を念頭に、包括的に規制することが必要と考えられる。

◆生活環境保全上の支障を防止するための方策として、生活環境保全上の措置を講じていること等が確認できない事業者の新規参入を禁止するほか、不適正処理が確認できた場合には取り消し等により厳格に対処するべきである。

◆対象物品の処分や処分前の保管については、事業者の能力、保管・処分時の設備の構造、処分方法等に基準を設け、これらの要件を満たした事業場でのみ解体等の処分ができるような仕組みとすべきである。

◆制度対象物品の受入日及び処分日並びに数量等につき帳簿の作成を義務付けることによりトレーサビリティの仕組みを構築すべきである。

◆使用済鉛蓄電池等について、廃棄物処理法上の廃棄物の取扱いに準じて国内処理を原則とし、国内での適正な処理を確保するとともに輸出にあたっては環境大臣の確認を受けることとすべきである。

②使用済リチウム蓄電池等への対応

リチウム蓄電池及びリチウム蓄電池使用製品に起因したヤード及び収集運搬車両の火災が頻発していることから、収集運搬や保管時に他のものと区分することや産業廃棄物の委託契約においてリチウム蓄電池等の含有の有無を明確にするための仕組みを導入すべきである。

※令和7年6月24日 廃棄物処理制度小委員会
「今後の廃棄物処理制度の検討に向けた中間取りまとめ」より

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