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Re-Mat ECOLUM 人・企業・環境をつなぐ、リマトの産廃コラム

排出事業者責任について

2025.08.14

近頃「〇〇から排出されたごみは誰が処理するのか?」といったお問い合わせを頂くことがありましたので、基本を見直すためにも、いわゆる「排出事業者責任」について改めて確認したいと思います。

排出事業者責任について

排出事業者責任については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃棄物処理法)において、次のように定められています。

(事業者の責務)
第三条
事業者は、その事業活動に伴つて生じた廃棄物を自らの責任において適正に処理しなければならない。
※本条は、「事業活動に伴って生じた」ということを要件とするため「事業系一般廃棄物」及び「産業廃棄物」が対象となる。なお、事業系一般廃棄物は一般廃棄物であるものの「自ら責任」が妥当するため、市許可業者へ委託する場合の他市区町村の設置するクリーンセンターで処分が可能であるが、処理費用を負担するという形で運用されている。

このように法律上、事業活動に伴って生じた廃棄物は、原則として排出事業者が「自らの責任において」処理しなければならないと定められています。これを排出事業者責任と言います。特に産業廃棄物については、

(事業者及び地方公共団体の処理)
第十一条
事業者は、その産業廃棄物を自ら処理しなければならない。

というように、産業廃棄物については「自ら処理」を原則としています。しかし、排出事業者が実際に自ら排出した産業廃棄物を自ら処理することは難しいため、現実的には処理業者へ委託するケースがほとんどですが、委託した場合であっても排出事業者責任を免れるわけではないためご注意ください。
また、本来排出事業者が果たすべき排出事業者責任について、管理会社等の第三者へ委託するケースについても、一定の制限があるためご注意ください。

請負契約に基づく排出事業者責任

請負契約※1に基づく排出事業者責任については、特に数次に亘る建設請負工事※2で問題となります。すなわち、発注者→元請→下請といった関係者が多数存在し、これらの関係が複雑になっているため、廃棄物の処理の責任の所在があいまいになってしまう恐れがあったことから、平成22年改正法にて第21条の3が新設※3されました。

※1 請負工事:当事者の一方がある仕事を完成することを約し、相手方がその仕事の結果に対してその報酬を支払うことを約する契約。
※2 建設工事の定義については、単に建設業法上の許可が必要な工事に限られず、「土木建築に関する工事であって、広く建築物その他の工作物の全部または一部の新築、改築、又は除去を含む概念であり、解体工事も含まれること」(H23.2.4 環廃対発第110204005号 環廃産発第110204002号)としています。
※3 改正以前も例外が認められていたものの、通知上では元請を排出事業者として運用されていました。

(建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理に関する例外)
第二十一条の三
1 土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によつて行われる場合にあつては、・・中略・・当該建設工事(他の者から請け負つたものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負つた建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負つた建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。

2 建設工事に伴い生ずる産業廃棄物について当該建設工事を他の者から請け負つた建設業を営む者から当該建設工事の全部又は一部を請け負つた建設業を営む者(以下「下請負人」という。)が行う保管に関しては、当該下請負人もまた事業者とみなして、第十二条第二項、第十二条の二第二項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定を適用する。

3 建設工事に伴い生ずる廃棄物(環境省令で定めるものに限る。)について当該建設工事に係る書面による請負契約で定めるところにより下請負人が自らその運搬を行う場合には、第七条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項、第十四条第一項、第十四条の四第一項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす

4 建設工事に伴い生ずる廃棄物について下請負人がその運搬又は処分を他人に委託する場合(当該廃棄物が産業廃棄物であり、かつ、当該下請負人が産業廃棄物収集運搬業者若しくは産業廃棄物処分業者又は特別管理産業廃棄物収集運搬業者若しくは特別管理産業廃棄物処分業者である場合において、元請業者から委託を受けた当該廃棄物の運搬又は処分を他人に委託するときを除く。)には、第六条の二第六項及び第七項、第十二条第五項から第七項まで、第十二条の二第五項から第七項まで、第十二条の三並びに第十二条の五の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす

上記廃棄物処理法第21条の3第1項より、数次の建設工事に伴って発生した廃棄物については、元請が排出事業者と規定されています。なお、一定の要件を満たす場合は、下請業者を排出事業者とみなして、排出事業者責任を負わせる場合があります。(同条第2~4項参照)

※残置物の処理責任について

上記の建設工事に伴って発生する廃棄物(以下、建設廃棄物という。)は上記のとおり元請業者が第一次的に処理責任を負いますが、建設工事のうち特に解体工事において発注者(所有者)が残置した廃棄物(以下、残置物という。)の処理責任が問題となります。
この点については、環境省通知(H30.6.22 環循適発第1806224号 環循規発第1806224号)により、「残置物の処理責任は当該建築物の所有者等にある」としています。したがって、事業活動に伴って発生した廃棄物の場合は、事業系一般廃棄物又は産業廃棄物、事業活動を伴わない場合は生活系一般廃棄物として処理委託することとなります。

ケーススタディ

①エアコン等の設置工事で発生する廃棄物の処理責任は誰が負うか。

この点については、エアコン設置工事が建設工事に該当する(管工事業)に該当するため、前述の廃棄物処理法第21条の3の適用となり、原則として設置工事の請負業者が排出事業者となります(建設工事 の定義については前頁※2参照)。

②エアコンクリーニングで発生する廃液の処分方法

上記①とは異なりエアコンクリーニング等建設工事に該当しないときの取り扱いについては通知等では明らかにされておりませんが、大阪府の以下のFAQが参考になります。

Q5
メンテナンス業務で発生した廃棄物の排出事業者は?

A5
メンテナンスが廃棄物処理法第21条の3第1項に規定する建設工事(土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。))に該当する場合は、排出事業者は工事の元請業者です。
建設工事に該当しない場合には、設備のメンテナンスに伴い生ずる部品、廃油等やビルのメンテナンスに伴い生ずる床ワックス剥離廃液等については、当該廃棄物を支配管理していて排出事業者責任を負わせることが最も適当なものとして、メンテナンス事業において産業廃棄物を発生させたメンテナンス業者又は設備やビルを支配管理する所有者又は管理者※1が排出事業者となります。

※1この場合、メンテナンス契約において、産業廃棄物の排出事業者責任の所在及び費用負担についてあらかじめ定めておくことが望まれます。ただし、廃水処理に伴って生じる汚泥の排出事業者は、当該廃水処理設備を設置している事業者ですので、メンテナンス業者は、廃水処理設備のメンテナンスに伴い生ずる機器の部品、ランプ類、廃油等の排出事業者となることはできますが、汚泥の排出事業者となることはできません。同様に廃水処理の結果として発生する劣化した濾材やイオン交換樹脂についても廃水処理設備の設置者に排出事業者責任があります。また、タンクに溜まったスラッジの排出事業者は、当該タンクを設置している事業者ですので、タンクの清掃業者が排出事業者となることはできません。

上記より建設工事に該当しない場合の廃棄物の取り扱いとしては、「当該廃棄物を支配管理していて排出事業者責任を負わせることが最も適当なものとして、メンテナンス事業において産業廃棄物を発生させたメンテナンス事業者又は設備やビルを支配管理する所有者または管理者」が排出事業者となり、「メンテナンス契約において産業廃棄物の排出事業者責任の所在及び費用負担についてあらかじめ定めておくことが望まれる」としています。なお、本見解は大阪府のものであり自治体により異なる可能性があるため、排出事業場を管轄する自治体に確認されることをお勧め致します。またエアコンクリーニングで発生した廃液は上記の見解に照らすと、クリーニング業者又は当該エアコンの所有者となりますが、この場合は特に事前の定め等がない場合はクリーニング業者の事業活動に伴って生じた廃液として産業廃棄物の処理委託とすることが望ましいと思われます。

注)エアコンクリーニングを家電量販店に委託、施工を下請業者が実施した場合、法第21条の3の適用がないため元請である家電量販店は排出事業者に該当しないと思われる。
注)当該廃液を所有者が処理する場合は、生活系一般廃棄物としてシンク等に排水することも考えられますが、この点については一般廃棄物として処理できるかお住いの市区町村へご確認下さい。なお、当該廃液(アルカリ性)は水質汚濁防止法の定める一般排水基準(水素イオン濃度)の規制を受けるためご注意下さい。

※1 設備やビルを支配管理する所有者又は管理者が排出事業者となる点については、以下を参照

S57.6.14 廃棄物の処理及び清掃に関する法律の疑義について
(清掃後の産業廃棄物)

問 14
清掃業者が事業場の清掃を行った後に生ずる産業廃棄物について、その排出者は清掃業者であると解してよいか。


当該産業廃棄物の排出者は事業場の設置者又は管理者である。清掃業者は清掃する前から事業場に発生していた産業廃棄物を一定の場所に集中させる行為をしたにすぎず、清掃業者が産業廃棄物を発生させたものではない。

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