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Re-Mat ECOLUM 人・企業・環境をつなぐ、リマトの産廃コラム

石綿(アスベスト)に関する大気汚染防止法改正について(その2)

2023.03.29

前回記事に続いて、大気汚染防止法についてのコラムです。
どの法律も、決して無下にできないものなので、しっかりとここで知識をつけて実際の業務に役立てましょう。

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特定建築材料の対象の拡大(所謂レベル3までを含む)

(改正前)吹付け石綿(レベル1)
石綿含有断熱材、保湿剤及び耐火被覆材(レベル2) のみが規制対象

(改正後)吹付け石綿(レベル1)
その他の石綿を含有する建築材料(レベル2及びレベル3) まで拡大

※佐賀県県民環境部環境課「大気汚染防止法の改正による石綿規制強化の概要」より抜粋。
※但し、都道府県知事への「特定粉じん排出等作業の実施の届出」とは対象範囲が異なる。

元請による事前調査及び発注者への報告の義務化

実施義務:元請業者

対象:解体等工事が対象
※解体等工事とは「建築物等を解体し、改造し又は補修する作業を伴う建設工事」を指す。つまり、石綿含有建材の使用の有無にかかわらず、上記建設工事に該当するものは広く対象となる。(例外あり)

方法:設計図書その他の書面による調査
特定建築材料等の有無の目視による調査
※但し、解体等工事が平成18年9月1日(これ以降は石綿の新たな使用が禁止されたため)以後に着手された工事で、当該建築物以外の建築物の解体、改造、補修等を行わない場合は不要となる。なお、これらの調査により特定工事への該否が明らかとならなかった場合は分析による調査を行う必要がある。

調査実施後の対応:発注者に対して、解体等工事開始の前日までに当該解体等工事が「特定工事」に該当するか否かを、所定の事項を記載した書面を交付して説明しなければならない。
また、都道府県知事へ当該調査結果を報告する必要がある。

事前調査等の記録保存の義務化

事前調査等の記録は、解体等工事が終了した日から3年間の保存義務がある。

事前調査結果等の掲示及び下請負人等への説明義務 等

元請業者
・事前調査の記録を解体等工事の現場への備置
・解体等工事現場での所定の事項の掲示 が必要
※掲示事項は以下のとおり(石綿則上の掲示事項と異なる点に注意)
⇒掲示の大きさは、長さ42cmx幅29.7cm(又は長さ29.7cmx幅42cm)以上

① : 事前調査の結果
② : 解体等工事の元請業者(又は自主施工者)の氏名又は名称及び(法人の場合は代表者氏名含む)
③ : ①の終了年月日
④ : ①の調査方法
⑤ : 特定工事に該当する場合は、特定粉じん排出等作業の対象となる建築物の部分の特定建築材料の種類
また、当該解体等工事が特定工事に該当し、且つ下請に請け負わせる場合は所定の事項を説明しなければならない。

事前調査にて石綿含有の有無が不明の場合の分析調査

実施した事前調査の結果、石綿含有の有無(特定工事に該当するか否か)が不明の場合は、分析調査を行わなければならない。
※本分析調査者の要件は石綿則では定めあり

特定粉じん排出等作業に係る届出及び掲示の義務化

届出義務:発注者又は自主施工者

対象工事:吹付け石綿並びに石綿を含有する断熱材、保湿材及び耐火被覆材に係る特定粉じん排出等作業を伴う特定工事(届出対象特定工事)
※レベル1及び2のみが対象(レベル3は対象外)

届出期限:当該特定粉じん排出等作業開始の14日前まで

届出先:都道府県知事

届出事項:
・届出対象特定工事の発注者、元請業者(自主施工者含む)の氏名、名称、所在地(法人の場合の代表者氏名含む)
・届出対象特定工事の場所
・当該特定粉じん排出等作業の対象となる建築物の特定建築材料の種類、使用箇所、使用面積
・特定粉じん排出等作業の種類、実施期間、方法
・特定粉じん排出等作業の方法が所定の方法でないときはその理由
掲示義務:特定工事の元請業者又は自主施工者は、特定粉じん排出等作業を行う場合は、所定の事項を備えた掲示板を設けなければならない。⇒掲示板の寸法は、事前調査に同じ

※掲示事項は以下のとおり
①特手工事の発注者及び元請業者(又は自主施工者)の氏名、名称及び住所(法人の場合は代表者氏名含む)
②届出対象特定工事に該当するときは、特定粉じん排出等作業実施の届出の届出年月日及び届出先
③その他②による届出に係る関連事項

事前調査結果等の都道府県知事への報告(電子システムによる)

解体等工事について事前調査を実施した元請業者又は自主施工者は、事前調査を実施したときは
遅滞なく当該調査結果を都道府県知事へ報告しなければならない。
※全ての解体等工事ではなく、以下のいずれかに該当する場合のみ報告が必要

① : 建築物の解体を伴う建設工事であって、作業対象の床面積の合計が80㎡以上のもの
② : 建築物の改造又は補修を伴う建設工事であって、当該作業の請負代金の合計額が100万円以上のもの
③ : 工作物(特定建築材料が使用されているおそれが大きいものとして環境大臣の定めるものに限る)の解体、改造又は補修を伴う建設工事であって、当該作業の請負代金の合計額が100万円以上のもの
※環境大臣が定める工作物は以下のとおり

※上記告示の改正により、「観光用エレベーターの昇降路の囲い(建築物であるものを除く。)」
が令和5年10月1日より追加されます。詳細は以下をご確認下さい。
【環境省HP】
https://www.env.go.jp/press/press_01756.html

報告事項

※厚生労働省労働基準局安全衛生部化学物質対策課 環境省水・大気環境局大気環境課
「建築物等の解体等に係る石綿ばく露防止及び石綿飛散漏えい防止対策徹底マニュアル」より抜粋

リマトサービス

令和5年10月1日施行

解体等工事の元請業者又は自主施工者は、事前調査(書面及び目視による調査)を行う場合は「当該調査を適切に行うために必要な知識を有する者として環境大臣が定める者」に行わせなければならない。
なお、本改正は令和5年10月1日より適用することとされているが、義務付け適用以前においても事前調査は下記調査者等に行わせることが望ましい。
※当該調査を適切に行うために必要な知識を有するものとして環境大臣が定める者 =「建築物石綿含有建材調査者講習登録規程第2条第2項に規定する者」

①:一般建築物石綿含有建材調査者
②:特定建築物石綿含有建材調査者
③:又はこれらの者と同等以上の能力を有すると認められる者
⇒ 義務付け適用前(令和5年10月1日まで)に一般社団法人日本アスベスト調査診断協会に登録され、事前調査を行う時点においても引き続き同協会に登録されている者
④:一戸建て等石綿含有建材調査者
⇒ 一戸建ての住宅及び共同住宅の住戸の内部のみ

建築物石綿含有建材調査者講習

分析による調査については、石綿則の規定により「適切に分析調査を実施するために必要な知識及び技能を有する者として厚生労働大臣が定める者」に行わせなければならない。
(令和2年厚生労働省告示第277号 令和5年10月1日より)
・分析調査講習を受講し、所定の修了考査に合格した者
・上記に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認められる者
⇒具体的には以下の者が該当する。

※厚生労働省大阪労働局労働基準部健康課「石綿障害予防規則等の改正について」より抜粋

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