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Re-Mat ECOLUM 人・企業・環境をつなぐ、リマトの産廃コラム

廃棄物をビジネスチャンスに変えるリユースの力

2022.11.09

日本では平成13年4月に施行された循環型社会形成推進基本法により、「大量生産・大量消費・大量廃棄」という経済社会から3R「再利用(Reuse) 減らす(Reduce) 再生利用(Recycle)」という循環型社会への転換を進めてきました。この記事ではその中でもリユースについて紹介していこうと思います。

リユースとは

リユースとは、日本語で「再利用」という意味です。自分が使わなくなったからといってすぐに捨ててしまうとそれは廃棄物(ごみ)になってしまいます。使わなくなったものでまだ使えそうな物は売る、誰かに譲渡することで、その製品が廃棄物にはならずにすみます。

環境省の報告からみる国内のリユースの事例

環境省の平成28年度の「リデュース・リユース取組み事例集」によると国内のリユースの事例では以下のようなものがあることがわかります。

マイボトル利用促進

横浜市では平成22年よりマイボトルスポットキャンペーンを実施。マイボトルスポットとは、お客さんが持参したマイボトルに店舗が飲み物を入れて販売したり、水を無料で提供する店舗のことです。平成27年4月には319か所に拡大しています。

リユース食器の利用促進

京都市では毎年7月に開催される「祇園祭」では世界中から60万人が集まり、20万食もの食糧が消費されています。これに対して、京都の祇園祭りを「エコイベント」として京都のお手本にしようとの声が上がり、屋台200店舗にリユース食器を導入。回収拠点として「エコステーション」を設営しました。

リユースびんの利用促進

奈良県では平成24年に奈良県の大和茶を使ったリユースびん入り緑茶飲料「とわ(To WA)」を開発し、奈良市や生駒などと連携して公共施設・飲食店・観光施設でリユースびんを利用や回収する地域循環システムを構築しています。
「ごみが出ない、環境負荷が低い」などをPRして販路の拡大を目指しています。

服のリユース促進

神奈川県では現在、県内に55のリユース・リサイクルショップである「WEショップ」を展開しており、家庭で不要な衣類や雑誌を寄付をしてもらい、その販売利益をアジア地域の人々の生活向上・自立のための支援等に活用いています。

使用済製品のリユース促進

北海道の恵庭市では、平成18年より、家庭内の不用品をリユースするためにフリーマーケットを開催しています。平成25年から消費者協会主催の消費生活展と共催しており、集客数UPを狙っています。開催当初、年一回開催で40店舗しかなかったフリーマーケット参加者数が平成26年には151店舗に拡大しています。

国内のリユース市場の広がり

リサイクル通信の2021年9月17日号によると、2021年のリユース市場規模は前年比11.7%増の2兆6988億円であり、新型コロナの影響が薄れた事から需要が回復し、今回の成長を踏まえて12年連続での成長となったようです。
また、ネット販売のBtoCも14.7%増となり、コロナ禍でEC(ネット商法等の電子商取引)に注力する事業者が増加していることが反映されています。
その中でもフリマアプリ等をはじめとするネット販売のCtoCでは、前年比19.6%増と約20%伸びたとのことです。コロナの影響が薄れてきたことで市場は急拡大し、近年の物価上昇や新品不足の影響も相まって割安な中古品が注目されてきていることを示していると言えるかもしれません。
また、画像のように今年、2022年度の市場予測では3兆円規模の市場になるとの見方もあるとのことです。

海外のリユース市場の広がり

画像のように米国で女性・子供向けにアパレルのリユースショップを運営する「thredUP」の2021年のレポートによると、360億ドルといわれていた海外のリユース市場は2021年から5年で2.1倍の770億ドル(2025年)に増大すると言われており、日本と世界両方で拡大傾向にあるといえます。

新型コロナによって海外リユース市場はどうなったかというと「thredUP」では消費者のアパレル購入数は減ったものの多くの人が倹約志向になったとのことです。
また、今後五年間で古着を購入する人は5.4倍になると予想されています。

thredUP」の2021 RESALE REPORTレポートによると、2020年の時点で、世界では2億2300万人の消費者が中古品を購入する又は購入する事に前向きであることが判明、
Z世代(24歳以下)のうち40%は、すでに過去12ヵ月間に、アパレルの中古品を購入したとのことです。

このことからも、近年の日本リユース市場と同様に「常に新品をでないと満足できない」から「中古品でも良いものならOK」というように世界の消費社の心理が変わってきていることを示していると言えるかもしれません。
今後、リユース市場の拡大に合わせて大きなビジネスチャンスが来ていると言えるでしょう。

リユース以外の選択肢

ここまでリユースの市場について言及してきましたが導入文で述べた3Rにはリユース以外にも2つあります。リデュース・リユース・リサイクル推進協議会の記事によると一般に消費者目線の3Rと事業者目線の3Rがあり、それは以下のように示されています。

Reduce(リデュース): 減らす

(消費者の視点)
○マイバックを持参して無駄な包装は断る。
○詰替容器に入った製品や簡易包装の製品を選ぶ。
○耐久消費材は手入れや修理をしながら長く大切に使う。
○利用頻度の少ないものは、レンタルやシェアリングシステムを利用する。
○耐久性の高い製品や省資源化設計の製品を選ぶ。
○使用頻度の少ないものをシェアする。

(事業者の視点)
○製品を設計する時に、製品ができるだけ長く使えるように工夫をする(耐久性、修理性等)。
○製品を設計する時に、製品ができるだけ少ない材料、部品等で構成されるように工夫する(省資源化)。
○製品をつくる時に、原材料を無駄なく効率的に使うように工夫する。
○修理や点検等のアフターサービスを充実することにより、製品の長期使用促進に努める。
○簡易梱包、簡易包装、詰め替え容器、通い箱等の利用、普及に努める。
○機械器具等の手入れ方法や修理方法を工夫して長期使用に努める。
○利用頻度の少ないものをシェアする仕組み、不用品を有効に活用する仕組みをつくる。
○耐久性の高い製品や省資源化設計の製品を選ぶ。
○食品ロスを削減する仕組みを作る。

Reuse(リユース): 再利用

(消費者の視点)
○リターナブル容器に入った製品を選び、使い終わった時にはリユース回収に出す。
○フリーマーケットやガレージセール等を開催し、不用品の再使用に努める。

(事業者の視点)
○製品を設計する時に、本体や部品のリユースがしやすいように工夫をする。
○使用済み製品を回収して本体や部品を再生し、再び新品同様の製品を作り出す。
○使用済み製品、部品、容器を回収し、再使用する。

Recycle(リサイクル): 再生利用

(消費者の視点)
○資源ごみの分別回収に協力する。
○資源ごみの効率的な分別回収を広める。
○リサイクル製品を積極的に利用する。

(事業者の視点)
○製品を設計する時に、使用後のリサイクルがしやすいように工夫をする。
○製品をつくる時に、できるだけリサイクル原材料を使う。
○使用済みとなった自社製品の回収・リサイクルに努める。
○発生した副産物・使用済製品を効率的にリサイクルする(仕組みづくりを含む)

リデュース・リユース・リサイクル推進協議会より引用

このように、消費者も事業者も地球のためにできることは数多くあります。
一つでも多くの事を消費者と事業者が協力して実施することで、地球をよりよい環境にする事ができると言えるのではないのでしょうか?

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